…はじまりとねらい
1968年、いまからちょうど50年前の10月1日のこと。
28歳のジョージ・A・ロメロが、「現代のゾンビ」を生み出したのは「Night of the Living Dead」という映画でした。
不死身、別人格、カニバリズム、感染といったひな形が世に出た瞬間です。
それから50年後の10月1日のこと。
行政の区分が、那珂川「町」から那珂川「市」に変わります。
もちろん変わるのは公共サービスなので、ゲームのアップデートみたいにボーナスステージが出現したりするわけではありません。
けれど、これをきっかけに、新しいサービスの企画運営者となる役場が旗を振って、中身から変わっていこう、と呼びかけています。
では、ロメロが50年後も生きるゾンビの概念を生み出したように、後世、私たちは何かを生み出したと言われるのでしょうか。
さすがにそれは難しいかもしれないし、そもそもそんなこと知る術もありません。
「Night of the Giving Money」は、そんな中で、ナカイチの選択肢や幅を生み出そうということとば那珂川のチャレンジの1つでした。
こととば那珂川というのは、ナカイチの公共アセットとしての価値を高めて、将来の選択肢を増やすことをミッションとしているプロジェクトです。
企画をした森重は、いま映画の上映会や音楽ライブを企画しようとしても、カルチャーとナカイチを結びつける人が少ないので、どうもやりにくいなあと感じていました。そこで、今このインフォメーションが届く人に向けて、まずは種をまくことにしました。
わざわざ祭りの日にぶつけたのは、偶然の出会いが起こることに期待したのと、ちょうど祭りなかがわの実行委員さんから、ナカイチで何かやらないのかとお声をかけていただいていたところだったから、というところです。
ただし、大事なのは、今回のイベントが、企画をした森重の今の個人的な視点と願いからできていること。
ソーシャルに考えすぎないことで持てる確かさでしか、きっと今のこととばのミッションとは向き合えない、という前提のもとにいます。
さて、どういう種になったのか。
…ストアブース。
今回は日本酒とワインで雑餉隈と薬院にお店がある「とどろき酒店」(http://todoroki-saketen.com)から選りすぐりの日本酒とワイン、駅前ビル2階にある「cafe Ruruq」(https://www.instagram.com/cafe.ruruq/)からカレーにフランクフルト、その他ドリンクで出店していただき、この夜限りの特設ストアとしました。
ここで販売したアーティストの方々のCDやトートバッグなどは、9月からナカイチ内で期間限定販売をスタートします。
cafe Ruruqをそのまま使うこともできたかもしれませんが、やはりそこはもう一歩踏み込んでみてよかったと、ゲートのようなブースに通う人々を見て確信しました。
…ライブ。
はじまりの時間が押し、どうなることかとそわそわした空気が流れる中、プログラムを決めずにやりたいという無謀なお願いにも答えていただいて、ほんとうにありがとうございました。
反省点は、設営と撤収の効率。物理的に難しいことがわかっていてやったのですが、スペースレンタルの枠をできるだけ減らさず、他の利用者に迷惑もかけずに主催イベントをするには、あと2人のパワーと、もう1人分のブレインが必要でした。
プログラムを決めなかったのは、場をつくるというよりできていく様子をみるのがとても重要だったからです。
アーティストのみなさんには、投げ銭、プログラムなしでありながら「地鎮祭」と捉えてご参加いただいて、ほんとうに感謝してもしきれません。
出演していただいたアーティストのみなさんは、
①瀬戸口恵
(http://setoguchimegumi.com)
②mikai×Miho Ishii
(https://twitter.com/mi_220)(https://www.instagram.com/mihoishii.japan/)
③zerokichi
(http://www.yakuin-records.com)
④城戸晋吾
(http://www.b9noise.com/uma/profile/kidoshin.html)
⑤西村周平
(https://www.nishimurashuhei.com)
という5組6名。
どなたも福岡の第一線で活躍している千両役者。
まだ生まれたてで落ち着かない場の空気がじっくりと変わっていきました。
それぞれまったく違うジャンルの音楽で、圧倒されつつ、乾いたスポンジに水が染み込むように空気が潤っていきます。
…DJタイム。
今回は、VJのKazuya Shidahara(https://note.mu/handlor)のパフォーマンスが欠かせませんでした。
ライブの最中はもちろんですが、DJタイムに入ったあとの場の改変っぷりはおもわず笑ってしまうほど嬉しい光景でした。
このあとアフターパーティーまでおよそ8時間に渡って楽しませていただきました。
そしてChums&OribeのDJタイム。
今回は無理を言って短い時間で回していただきました。
彼らのダンスミュージックは、ほんとうは3時間も4時間もつづけて場を混濁させていく素晴らしい音楽なのですが、今回はその片鱗のみ。
しかしこの瞬間が、今回のイベントでいちばん遠くまで来れた瞬間でした。
彼らのテクノととどろき酒店の日本酒、相性はいかがだったでしょうか。
トリは、今回最大の不確定要素。MC暴士。
「kids corner」の文字とあまりに似合わない男は、とても実直。
風貌から滲み出るまっすぐさに思わず笑みがこぼれますが、相応しい〆になりました。
…おわりにとお礼
ほんとうはもっと1つ1つのパフォーマンスに触れていきたいのですが、今回はまだまだそんな余裕はなく。また次ができればその時のレポートではより解像度を上げて触れたいと思います。
なんとか種は蒔けたような気がします。
課題もたくさん見つかりました。まだ、今回ご厚意で集まっていただいたアーティストの方々をソロでお呼びできるところまでは行っていませんが、しっかり種を育てつつ、冬くらいにまた違ったかたちで水をあげられたら、と思います。
ご来場いただいたみなさま、出店してくださったみなさま、そして出演してくださったアーティストのみなさま、ほんとうにありがとうございました。