木藤さんは、もともと九州芸術工科大学(現・九州大学)を卒業後、
福岡にあるコンサルタント会社で多くのまちづくりに関わってきたそうです。
テナントミックスサポートマネージャーという肩書は、
これまでの仕事の延長線のようでもありますが、
“考える”から“動かす”までまちづくりを進める。
しかも、まちに移り住んで、どっぷり浸かって………
となると背負うものが全然違ってくるはずです。
出身地でもある那珂川町のためにと、忙しいなか時間をさいてくださった木藤さん
そんな木藤さんのこの仕事への意気込みを感じるのが、
株式会社油津応援団の立ち上げです。
商店街にテナントを誘致していくなかで、
自らもリスクを背負って運営するため会社を立ち上げられています。
パワフルな木藤さんではありますが
まちづくりを進めながら事業会社を立ち上げるのは一筋縄ではいきません。
いいパートナーとの出会いが、契機となったのだとか。
株式会社油津応援団の社長を勤める村岡浩司さんはその一人。
株式会社油津応援団の一歩となったABURATSU COFFEE。休日には都心のカフェと変わらない売上をあげている
もともと、宮崎を拠点にカフェの展開などを手掛けていたこともあり
そのノウハウをもとに商店街の入り口にオープンしたのが
「ABURATSU COFFEE(アブラツコーヒー)」。
わざわざでも出かけたい美味しいパンケーキのあるこのお店のオープンは、
まちの空気を一変させる店舗になったようです。
その後の、「油津Yotten」や「あぶらつ食堂」のオープンに向けても
事業者として関わっていくことで活性化に勢いをつけています。
もう一人の取締役・黒田泰裕さんは、地元商工会議所で活躍していた
ネットワークを活かして新参者の木藤さんたちを
まちの重鎮たちとつないでくれるおかげでスムーズに行くところも多いのだとか。
可動式の仕切りによっていろんな広さ、使い方ができるよう工夫された「油津Yotten」
まちの人が主催の書道教室が開催されていたり、子どもたちが遊びに来やすいよう駄菓子が販売してあったり、多世代がふらりと寄れるバとなっている
そんな取り組みに共感をもって、若い力も集まってきています。
株式会社油津応援団スタッフの鬼束準三さんと鈴木美貴子さんは、
それぞれ東京からのUターン組み。
建築を学んだ鬼塚さんは、オフィスでの仕事を中心にしながらも、
設計的な視点で油津のまちに関わっているそうです。
会計の知識をもつ鈴木さんは、継続化していくためのお金の流れも考えられています。
まちの人たちに近い存在のスタッフのおかげで、
商店街の方々との関係もちょっとずつ変わってきているそうです。
写真左の鈴木さん、右の鬼塚さん。ふたりとも「いつかは地元で」と考えていたそう。専門的スキルを活かし新しい働き方を模索中
ハコをつくってもそのバが生かされなくてはいけません。
いろいろな仕組みを考えるなかのひとつが、
油津アイドル発のアイドルグループ「ボニート・ボニート」です。
子どもたちが集まるバとしてダンス教室を開こう!
「油津Yotten」開業へ向けてバを活かすために
まずは、商店街のストリートからはじまったこの取り組み。
今ではいろんなイベントへ呼ばれる公式アイドルにまで成長しているそうです。
宮崎初カツオフェア前夜祭に登場の様子。(撮影:株式会社油津応援団)
さらに、新たな雇用を生んでいく動きも活発です。
ちょうど、視察に訪れていた次の日の朝は記者会見。
油津商店街の新しいメンバーとして仲間入りする
IT系企業をご紹介されていました。
視察の日の記者会見の様子。内との交渉だけでなく外へのPRも大きな仕事
まだまだシャッター街に変わりない油津商店街ですが、
確実に再生への歩みははじまっているようです。
人と人との出会いが噛み合って、大きなを歯車となって動きだす。
人の力と「つなげる。つながる」ことの大切さを感じた視察となりました。
活動をどう根づかせるのか?どう広げていくのか?日本の商店街に一石を投じるケースとなりそうな油津商店街