平成29年10月2日(月)、シェアキッチンの視察に行ってきました。訪ねたのは、その先駆け的な施設で名古屋市の「すたーとあっぷきっちん」です。
オーナーの木村優子さんは、元々建築を専攻されていて会社員として働いていました。その後、様々な経験から食について学び栄養士の資格を取り、自ら体に良い食べ物をつくり販売をされています。
自分と同じように、美味しいものを販売したいと思っている方、
チャレンジしたい方などの支援をしたいということから「すたーとあっぷきっちん」が生まれました。場所は、名古屋の繁華街、栄から歩いて10分程度。中古のワンルームマンションをリノベーションされています。
施設ができるまでの思いやご苦労などは、こちらにも詳しいレポートがあります。
このシェアキッチンの大きな特徴は、菓子製造許可を得ている場所であることから、ここで適切な方が製造したものは、食品表示などを適切に行うことで「販売」ができるということです。
自宅などで製造したものは、一般的には販売ができませんが、このような場でお菓子やパンなどを作って、フリマやマルシェで販売したり、ネット販売したり、カフェなどに買い取ってもらうということで、「小商い」、「小さなビジネス」が生まれます。
すたーとあっぷきっちんの利用者のキャリアも様々といいます。飲食店での経験が十分にある方から趣味として取り組まれる方など、仕事として考えている方もいれば、趣味で十分という方もいるようです。
昨年からはスクールも開始したそうです。シェアキッチンを利用して、商品の販売を考えている方が、商品開発や販路形成などを一緒に考えていくようで、県外からの参加もあるそうです。
食に関する仕事に興味がある方は、潜在的に非常に多いのではないかと思います。生産から加工、販売までの6次産業でもありますし、とても可能性のある分野だと思います。自分の時間を有効に使って、お金を稼ぐことができるということからも、「身近な創業」、「小さな起業」として、子育て世代の女性や元気なシニア世代に、ニーズがあるようです。
こういったシェアキッチンの事例は、海外でも「Union Kitchen/フード・アクセラレーター」(ワシントン)や「Kitchencru」(ポートランド)などがあります。料理のプロがケータリングなどの商品を調理しているようでかなり設備も本格的です。
日本では他に、8人で使うシェアキッチン「8K(8SHARE KITCHEN)」(東京都武蔵野市)やこころある創業を支援するシェアキッチン「MIDOLINO」(東京都武蔵野市)、「おやつマルシェ」(千葉県館山市)、「box factory natsu72」(大阪市)など、続々とオープンしているようです。
いずれのホームページを拝見しても、キーワードとして「地域」とか「ナリワイ(生業)」とか、まちづくりにつながるキーワードがたくさん出てきます。食を通したまちづくり・地域づくりを意識されているようです。
AirbnbやUberを始め、シェアリングエコノミーは急激に拡大しています。IT技術により、これまでとは全く異なるサービスが確立されてきています。こととば那珂川でも、「公共施設」や「駅前ビル」の既成概念にとらわれず、新しい空間と場を創出することで、新しい地域での働き方を生み出していけるような場や機会をつくりだしたいと考えています。